孤独感・疎外感と仕事上の性格
職場で味わう孤独感と疎外感
現代の会社で働く人であれば、仕事でうつ病を発症し(業務起因性うつ病)、会社に来れなくなった人の一人や二人は知っているはずです。
仕事に真面目に取り組み、力を振り絞って頑張った結果がうつ病の発症では、人生と仕事の主従関係が逆転してしてしまっていると言わざるを得ません。
(お葬式に参列する機会があれば、まず間違いなく価値観が揺さぶられるはずです)
社員のうつ病発症増大に危機感を募らせる会社側は、いろいろ考えた挙句に概ね以下の類の対策を打ちます。
- 対策上のキーマンとなる現場管理者(管理職)に対する「部下指導法セミナー」・「メンタル講習」「傾聴トレーニング」
- メンタル対策冊子の配布
- 健康診断時に行う問診の強化
- 職場内声掛け運動の実施、声掛け強化週間の実施
- カウンセリングルームの設置
- 運動会等の社内行事復活
うつ病をはじめとする精神の変調に関係する疾患に対する労働災害認定(厚労省 労働基準情報)基準が緩和され、イメージダウンや損害賠償請求を恐れる会社側にも切迫感はありますが、残念ながら目にみえて劇的に効果が表れるといった事はありえない類の問題です。長い時間を掛けて制度として根付かせないと効果は表れません。
「仕事量が多過ぎる」「慢性的な疲労」「強く長いプレッシャー」「発散出来ないストレス」・・などが、うつ病罹患の遠因・原因ですが、症状を悪化促進してしまう要因が職場で感じる 『孤独感』『疎外感』とされます。
自由意志を持った大人が抱いている感情を他人がコントロールする事はできませんが、自らを追い込み易い状態にさせないためには、常日頃からの声掛けや人間理解の場を設ける事が非常に大切とされます。
孤独感・疎外感を感じる機会が増大した背景には、以下のものが挙げられています。
- 社員評価制度の個人化促進による、助け合いやチームで働く機会の減少
- 若手社員を中心として、「これ以上は踏み込まれたくない」と考えて設定する境界線や壁が遠く、高過ぎる
- ケアする立場の管理者が自分の事で手一杯
- 人事・処遇システムの変更による、管理者のプレーイングマネージャー化
孤独感・疎外感
当人にとって適当で、心地良く感じられる人間関係が得られないために感じる感情が孤独感や疎外感です。
少し前であれば、「ナイーブな青年期特有のもの」として捉えられていましたが、現代社会においては、生涯を通してどのような時期にも生じ得るものと化しています。 青年が、「寂しい」「一人きりだ」「誰も理解してくれない」と感じるのは心の中の孤独であり、物理・人間関係的には周囲に人が数多くいる事が通常でした。
孤独感を抱えながらも、物理的に社会との関係を絶つ事が不可能な状況の中で暮らし、内面の成長とともに序々に孤独感や疎外感が消えていくのが通常でした。
しかし、ライフスタイルの大きな変化(少子化、女性の社会進出、核家族化etc)に伴い、物理的にも孤独な状況に置かれる子供や高齢者が増えています。
子供時代は、『人生の意味や目的を考える大切な時間』であり、高齢期は、『人生の意義や成果を振り返る大切な時間』と言えます。
人生の大切な時期に感じる心身両面に渡る圧倒的な孤独感は、現代日本人の人生観や死生観に計り知れない影響を与えていると考えられます。
孤独感・疎外感に効く仕事上の性格
- 自分をいたわる / 情報を集める
- 何事も度が過ぎれば、メリット以上にデメリットが表面化してしますが、健康や命に関する場合は少し違います。
健康に関する知識や情報を集め、自分の体からの発せられるサインを見逃さずと、少し甘いくらいで丁度いいのが心身に関する対処法です。
- 隠し事しない
- 辛い時や苦しい時には「辛い。苦しい」。寂しい時には「寂しい」など、「大人」「仕事」「職場」とくれば、自分の気持ちをストレートに出していては始まりません。少しバカにされるかもしれません。
しかし、被害妄想的な性格を持ち合わせていない普通の人にとって、仕事で孤独感や疎外感を感じる事は正常な状態ではありません。
我慢せず素直に、早めに、自分の内面を開示する事が求められます。
孤独感・疎外感と注意したい攻撃的性格
- 立ち向かう
- アグレッシブな性格を持つ人は、仕事上の性格も同等のものを発揮します。物事の内容が変わろうとも、容易に対処法を使い分ける事はできません。
何事にも真正面からぶつかって突破する事を信条にする人は注意が必要です。
うつ病を発症する人が口を揃えて言う事は、
「まさか自分が・・」「甘くみていた」「初めての感覚でどう対処すればよいのか分からなかった」などです。
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