パワーハラスメント / 仕事のスタイル(図太く振舞う)別関連知識

パワーハラスメント

職場において、職権や人間関係上の優位さを背景とし、相手の人格や個人的尊厳を傷つける言動を繰り返し行い、精神的(時には肉体的)な苦痛を与える事。

業務上の指揮命令過程で行われる叱責や叱咤と、パワーハラスメントの境界はあやふやなもので、最終的には当事者の主観を元に判断せざるを得ないものですが、「大人が大人をいじめる」という特異さが相まって、近年注目度が高まっている問題です。

上司等による一連の問題行動に、『パワーハラスメント』という名前が付いて広く理解が深まった事により、「俺も」「私も」と、声を上げる被害者が増大しているといった側面がありますが、
「社員のモチベーションを下げる」「優秀な人材が流出する」「社員が心身の健康を害し、組織の生産性を著しく下げる」といった、組織運営上見過ごす事ができない大きな問題と位置付けられています。

簡単に言えば、「気に入らないから」「思い通りにいかないから」引き起こされるパワーハラスメントですが、就業環境の大きな変化の中にその原因を見出そうとする、以下のような分析が並べ立てられています。

 IT・電子機器の発達と運用の失敗
本来は業務の省力化・効率化に活用されるべきIT関連機器の発達が、
「過剰な人員削減を生み、かえって仕事量の増大をもたらしている」
「どこにいてもそれなりの仕事がこなせる環境になってしまった」
「どこにいても会社や顧客からつかまえられる環境になってしまった」
「人の処理能力を超えたスピードが求められている」
「ミスに対して厳しくなってきている」
 など、
主役であるはずの人間ではなく、本来は脇役であるはずの、『間違わなくて、早くて、正確』な機械にあわせた考え方や運用が、働く人から心身両面の余裕を奪ってしまっている
 人間関係能力の低下
上司、部下ともに、「価値観の多様化」「個人化」「個性重視」といった社会環境の変化の中で、人間関係上のスキル(忍耐・許す・待つetc)を培う場を放棄・回避してしまった
 行き過ぎた成果主義
成果・結果・お金・効率・利益等を追い求める事をよしとし、人間的な付き合いを妨げてしまう人事評価制度の広がりと運用の失敗

労働からもたらされる、肉体的・精神的・時間的負荷の大幅な増大が、パワーハラスメントが増えている事の原因とされています。

パワーハラスメントの分類

パワーハラスメントの分類と具体的な言葉

 否認・否定タイプ
相手の仕事や能力を不当に低く評価。正当な評価を与えない。人格・個人の尊厳を否定。
「お前はバカだ」「お前なんて・・」「どんな教育を受けてきた?」「給料泥棒!」
 強制・強要タイプ
相手の意思や希望を認めず、自分の考えや仕事のやり方を強要。相手の意見を全く聞き入れない。違法行為を強要。自分や他の人が取るべき責任をなすりつける。
「黙ってやれ!」「俺の言う事が聞けないのか!」「君の責任だぞ!」
 邪魔・妨害タイプ
正常な就業環境を与えない。業務・情報を与えない。休日・休息を与えない。解雇や異動をほのめかす。
「君は外れてくれ」「君はもういいから」「辞めてもらってもいいんだよ」「この成績でよく有給を申請できるね」
 激情・攻撃タイプ
大声で怒鳴りつける。人前で叱責を繰り返す。机や壁を叩いて力を誇示する。直接的暴力。
「このヤロー!!」「全くダメじゃないか!!」「もう帰れ!!」「死んでお詫びしろ!!」

パワーハラスメントの成立要件

  • どちらかが従わざるを得ない縦の力関係
  • 明らかに業務とは関係のない事柄に言及
  • 嫌悪感情の有無
  • 暴行・傷害・脅迫を伴うもの
  • 違法行為(サービス残業の強要・正当な理由のない解雇etc)
  • 被害者側の申し立て・客観的に確認可能な病気や怪我の存在
  • 威圧的表現

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